マンスリーコラム

「柔軟な姿勢」で向き合い続ける  ~自他肯定のもとに~

鶴田 弥生(つるた やよい)

短大卒業後、地方銀行、公的機関、人材育成企業を経てフリーランス。福祉人材の能力開発やキャリア形成支援、自治体・民間企業研修及びコンサルティングに携わる。平成21年度より(公財)介護労働安定センター宮城支部にて人材育成コンサルタント。

【資格】

2級キャリアコンサルティング技能士

国家資格キャリアコンサルタント

NPO CMCAキャリア・カウンセラー

NPO 日本エニアグラム学会1級アドバイザー

「柔軟な姿勢」で向き合い続ける ~自他肯定のもとに~

●手放したくないもの


  地方銀行に8年間勤務し社会人としての基礎、また精神保健福祉センターにて心理判定補助員として、興味を持っていたメンタルヘルスを短期間ながら学ぶ機会を得ました。そしてキャリアに関心を持ったのは人材育成企業に勤め上司がキャリアカウンセラーとして活動する姿に刺激を受けたことが始まりです。その後、配偶者の異動に伴い、釧路→札幌→仙台→秋田と転居しましたが、生活に慣れた頃に「またキャリアのリセットか...」と物理的な環境変化に動揺し落ち込む繰り返しでした。そこで手放したくなかったのは、仕事であり、信頼できる人間関係でもありました。


●福祉業界のキャリアパス支援


  それまで主に若年層就労や再就職支援に注力し、福祉業界の見識は持ち合わせていなかった私が福祉人材支援に関わったのは、キャリアコンサルティング協議会からの仕事情報でした。札幌から仙台へ転居した平成21年当時は子どもが1歳、親類や知人はおらず一時的に秋田の実家に預ければ稼働できると思い「介護労働者の雇用の安定と福祉の増進に努める公益財団法人介護労働安定センター各都道府県において、月3回程度福祉施設を訪問し事業主とのカウンセリング業務を実施」という内容への応募がきっかけです。

その後は宮城支部コーディネーターと共に事業所訪問による雇用管理改善、能力開発・向上に関する相談支援を担っています。既に事業所が取り組んでいる雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、業務管理、福利厚生など)を確認しながら、それぞれの事業所の特性を捉え実践的な取り組みを話し合っています。そして職員が安心して働くことのできる職場環境のために効率の追求だけはなく、モチベーション向上や協働意識の醸成を図る目的でキャリアパス支援と併せて事業主やリーダーらの意識改革です。


●「魅力ある職場の創造」を目指して


  感情労働と言われる介護福祉人材の確保が難しく、政策課題であることは周知されています。福祉の現場で見聞きする、「人の役に立っている・感謝され嬉しい・能力向上を意識した時に充実感を得られる。」という献身性を感じる一方で、介護労働実態調査によると定着率が他の産業に比べ低い理由は賃金格差や昇給などの処遇の指摘のほか、休暇取得、身体的負担、不規則な勤務形態などの職場環境に関わることも挙げられます。

また訪問先では育成し期待した人材が他の事業所へ流出してしまうことの嘆きが聞こえることから、職員に向け事業所の魅力要因は処遇面だけではなく理念や職場風土、人間関係と多面的であることの理解を得られるような工夫も考察中です。さらに年長者が部下になり遠慮が先立ちリーダーとして役割を遂行できないと悩みを抱えている職員が見受けられる場合は、コーチングスキルの習得と共に指示型マネジメントから支援型リーダーシップへの移行を促しています。時にはメンバー間での葛藤や反発そして意見調整とプロセスはありますが、そこから逃げずに「キャリアや年代の異なるメンバーらが支え合い、強みを承認し合う自他尊重の組織づくり」支援を継続していく覚悟です。併せて活用できる人材開発支援助成金の制度導入提案に備えコンサルタントとして知識習得の必要性を感じています。


●自分探しの旅「エニアグラム」の知恵から肯定感を携える


  キャリアカウンセリングの養成講座の受講前に、「エニアグラム」を通信教育で学んでいました。周囲との良好な人間関係の構築を目的に自他理解を深める知恵と言われる人間学です。そしてコンサルタント資格取得後にワークショップへ参加しました。テキストで学習したことを実際にタイプの違う方々と互いをわかり合うために自己開示するワークは、同時に自分自身を振り返ることになりました。

それは辛い出来事から目を背け現実逃避に陥りがちだった私にとっての「転機」となりました。〈こだわり〉や〈とらわれ〉に気づき、自分を受容できた瞬間です。加えて「社会には様々な人がいて、それぞれの価値観を持っている」ことの再認識とコンサルティングを実施するうえで自己肯定感を携えることはクライアントとコンサルタント相互のために重要なのだと痛感したのです。


●「リセット」ではなく「リスタート」!そして誰もが主体的なキャリア形成の実現を!!


  さて、転居のたびに落ち込んでいた私はキャリアをリセット(最初からやり直すこと。状況を切り替えるためにいったんすべてを断ち切ること。※)すると考えていました。けれど居場所が変化し外見は分断のようでも、私自身がキャリアを継続的に捉えることでリスタート(再出発すること。※)する!と気持ちの切り換えができつつあります。そしてクライアントの理解と家族の協力に恵まれ、北海道・東北での業務は8年目となりました。

これからも年齢や経験に因らず奮闘される、あるいは活躍する場を求める皆さんと歩調を合わせていこう、さらにクライアントの主体的なキャリア形成実現の支援を柔軟な姿勢で向き合い続けよう、とつぶやく私がいます。

    ※デジタル大辞泉より


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