マンスリーコラム

時代に寄り添い、世代をつなぐキャリアコンサルタントに

小川 睦子(おがわ むつこ)

北海道夕張市生まれ。朝日生命新宿本社、全日空東京支店客室乗務員などの勤務を経て1991年株式会社コム設立。メンタルヘルス、ビジネスマナー、電話応対、キャリア開発を専門分野とする。企業のホスピタリティ向上を組織全体で取り組んでいく組織変革に力を注いでいる。

【資格】

国家資格 キャリアコンサルタント

PHP認定ビジネスコーチ

アンガーマネジメントファシリテーター

時代に寄り添い、世代をつなぐキャリアコンサルタントに

●キャリアコンサルティングも変わっていく


  私がキャリアカウンセラーとしての歩みをスタートしたのは2005年。当時は就職氷河期・就職超氷河期と言われた時代でもあり、新卒の若い皆さんの多くが、職に就くことができない。出産・育児のためにワークキャリアを中断した皆さんの多くが、職業人として社会に戻ることができない。年功序列・終身雇用がその終焉に向けて徐々に綻びをあらわにしながらも、依然として社歴や学歴がワークキャリアの最も重い要素を占めていた事実は大きく変わることはなく、自由で流動的なキャリアを描いていく人は、ごくわずかな『一風変わった人』を除いては、ほとんど見かけられない。そんな時代であったように思います。経済状況に余裕の少ない地方都市においては、尚更のこと。『どのような轍を描いていくか』を考える以前に、『車輪を手に入れることができない』人がたくさん居るような時代でした。

  そんな中で私たちのキャリアカウンセリング、キャリアコンサルティングが求められる機会の多くは、『就労支援』と『転職相談』の枠組みの中にあったように思います。

  時代はくだり、団塊世代の労働生産年齢からの卒業、あたらしく労働生産に加わる人たちの人口減少、産業構造や社会インフラの劇的な変化などを経て、いま、就職希望者の『売り手市場』化が盛んに報じられ始めています。期せずして私たちは、世相の急激な変化によって、キャリアコンサルティングの本来の姿――『クライアントが心から望む未来に、自分の足で歩み続けるための支援』を求められることになりました。それは、見えているキャリアパスの中から正解のルートを探すような支援ではなく、今はまだ見えていないキャリアビジョンを、くっきりと見ることができるようになるための支援であるようにも思えます。

  また、今日のキャリアコンサルティングは、複業や事業所外勤務などなど......旧来の『標準的な社会人のくらし』の姿とは大きく異なるさまざまな新しい働きかたを巧みに乗りこなしながら、組織と個人が依存的でない対等な関係に近づいていく世の中を、自分自身の価値観と信念に従い、独自性の高い能力と強みをよすがに旅していく人たちを支援していく営みでもあります。

  私を含めて、20世紀にワークキャリアをスタートしたコンサルタントは、自分自身が体感したことのない社会システムの中を生きるクライアントに対して、どのようにすれば伴走することができるでしょうか?

  一方で、ご自身が21世紀にワークキャリアをスタートした若きコンサルタントの皆さんや、年若いクライアントにとっては、20世紀を必死に駆け抜けてきた人たちが、今とは違う社会の仕組みの中で長い時間をかけて育んできた常識や価値観と、どのようにすれば正面から向き合うことができるか?という課題があることでしょう。


●私たちキャリアコンサルタントが、世代間の橋渡し役になるために


  若く元気で優秀なクライアントが社会で大活躍することを支援する一方で、やはり元気で優秀で、豊かな経験を手にしているシニア層の大活躍を支援することも、日本社会を豊かにするために私たちコンサルタントが担う使命のひとつです。

  異なる世代の人材が、共有されたビジョンの中で躍動するために。私たちは、クライアントの在り方のより深い部分を受け入れ、共感し、世代の壁を超えた自己一致の中で支援のための対話を重ねていく必要があります。

  そのためにできることの一つが、私たちキャリアコンサルタント自身が、幅広い世代のコンサルタントと対話し、幅広い世代のクライアントを支援することで、自分と異なる世代に寄り添い、分かち合いを深める機会を多く持つことであるようにも思います。

  私は今年で64歳を迎えます。後進に託すなどという言葉を安易に使わずに、私もまた『今ここ』を生きている社会人の一人として、人生の諸先輩がたとも、溌剌としたお若い皆さんとも、大いに今を語り合い、手を取り合って未来へ歩んでゆく仲間でありたいと思っています。


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